2012年6月14日木曜日

チームサイクルについて考える2

勝ちながら世代交代をする・・・。この事が如何に困難であるかは、世界各国のリーグ戦歴を見れば明らかです。もちろん、何にだって例外はあるんだろうけど、リーグ戦が健全に戦われているとするならば、一つのチームが何年にもわたってリーグ戦を連覇する事などは不可能なんでしょうな。イングランドのプレミア、ブンデス、セリエAのリーグ戦においては、特定のチームにしか優勝のチャンスはないと言われてきましたが、大切なのは「その特定チームが一定数以上ある」という事実です。その「特定数か何チームあればいいのか?」は見解が分かれるところですが、スペインのように「レアルかバルサの2者選択しかない・・・」と言う現実では、そのリーグ戦が健全とは言い切れません。

そんでもってベガルタの話に戻ります。仙台は現在首位ですが、ここまでチームとして成長する為に要した歳月は、04年の降格元年から計算すると9年、手倉森監督が指揮を取り始めた08年から換算すると5年ということになります。その間、紆余曲折はあったものの、リャン・関口・菅井・富田・広大・田村などは一貫して主力としてチームを支え、これら自前とも言える選手の成長が現在首位をキープしている原動力であることに論はもちません。本当にありがたいことです。しかし、サッカー選手の「旬」は短く、ベガルタのチーム編成が「中堅主体」に偏っている以上、どこかで「選手サイクルのネジ」を戻す必要性が出てきます。それって、いつ頃来るんでしょうか?と言うことが今回の命題です。

サッカー選手に年齢は関係なく、大切なのは結果を出せるか否かだ・・と言うことは分かっていますが、現在の主力がそのまま4~5年後も主力だった場合に、そんなチームに未来や希望があるかどうかは極めて喧(かまびす)しい。5年後と言えば、リャンは35才、赤嶺、角田、太田などは32、3才、関口や富田や田村だって30オーバー・・・。んっ、意外とやれるか???とは思いつつも、やっぱり怪我などもしやすくなるでしょうし、長いシーズンを乗り切ることは難しそうですな。

チームを若手主体のサイクルに戻す事は簡単で、その方法はベテラン選手を切り、積極的に若手を実際の試合に出すことです。例えば今年の仙台で言えば、とりあえず暫定ラインをクリアーしたら、後の試合は結果に左右される事無く若手を起用すれば、その若手の才能が間違いでない限り、チームのサイクルは順調に変化する事が出来ます。しかし、その場合は優勝もACLも諦めねばなりません。せっかくのチャンスなのに、そんな機会をみすみす逃す事などは、チームとしてもサポーターとしても許されるはずはないので、その場合、多くのチームはリーグ戦の中盤以降に若手を積極的に起用される事は少なくなります。つまり、結果を求めるあまり、実績のある選手を多く起用する傾向が出てくるのです。こうして結果を求められるチームは、自然とベテラン中心のチーム編成となってしまい、あるリミットを境として急激にチーム力が減退して行きます。

現在のベガルタが「成長期」か、それとも「収穫期」であるかは論が分かれるところです。現在の仙台はベテラン中心の編成ではなく、中堅選手偏重のチーム編成となっています。柳沢と言うベテランは居るものの、それ以外の選手に「ベテラン臭」を感じる事はありません。ここから、チームとしても、個人としても、これから成長してゆく「伸びしろ」はあるでしょうが、その「伸びしろ」の幅は5年前よりも狭くなってきている現実を無視する事など出来ないでしょうな。もちろん、チームとしての「伸びしろ」と個人としての「伸びしろ」は厳密に「=」ではないので、選手個々の「伸びしろ」の幅が狭くなったとしても、その分をチームとして「伸びしろ」の幅を広げることで、成長期のサイクルをチームとして長めることは可能です。つまり、現在の主力で「更なる成長」を目指すのであれば、チームに強めの刺激を与え続ける必要があり、その刺激が正解だった場合のみ、仙台と言うチームは成長し、我々サポーターは、あと数年は収穫期を楽しむ事が出来そうです。

ベガルタンの考えとしては、現在のチームは選手個々の成長の「伸びしろ幅」は狭くなってきたものの、その分はチーム連携や戦略・戦術などを進化させることによって十分補うことが出来ると考えており、そのトータルな「伸びしろ幅」が一定以上あるとすれば、ベガルタ仙台と言うチームは、まだまだ「成長期のチームである」と思っています。なので、チームとしてはリーグ戦の終盤まで現在の順位をキープしていたとしても、決して「収穫」のみを意識する事はせずに、起用する選手を固定することなく、常にチームを刺激し続けるべきです。そしてその刺激は、常にチーム内から起こす必然性は無く、ある時は助っ人を外部から(赤嶺などのように)招いてもいいでしょう。そのような刺激を絶えず与えられるチームが、結果的にチャンピオンチームとして歴史に名を刻む事が出来るのです。

仙台のチーム編成がベテラン中心で今年が勝負!!であるのなら、若手などを試す必要はなく、実績のある選手を補強して今季のリーグ戦を闘うことに不満は感じませんし、そうじゃないにしても、こんなチャンスなどそうそうないのですから、今年チームとしてタイトルを狙うのは当然です。そんな場合でも、チームに対して刺激を与える方向性は熟慮する必要があるはずでしょう。仙台の場合で言えば、その方向性は「組織としての継続性」しか思い浮かびません。その方向性に沿って選手を獲得し、若手を起用し続けることでのみ、仙台がチャンピオンチームにはなれないと思っています。

個人的に「仙台は収穫期ではない」と言う前提に立っているので、監督やフロントには「成長期に沿った戦略・戦術でチームを導いてください」と願っているベガルタンでした。

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