2014年5月28日水曜日

VEGA-STAP細胞はあります!!

静寂な研究室。ここでは、時折さえずる小鳥の声さえ、時に息苦しくなる。テーブルをはさんで対面する二人の間には、重苦しい空気の壁が出来ていた。そんな壁を、白幡が打ち破った。


白幡「ここに、DNAが抽出できるメッシの髪の毛があります。この髪の毛から、VEGA-STAP細胞でメッシだけが持つ万能得点力細胞を取り出し、ベガルタの選手がもつ細胞と融合させ、チームのFWにメッシの得点力を移植させてください!!」

久保「白幡さん、待ってください。まず、この研究成果を学術誌ネイチャーに発表しますので、それからでは駄目でしょうか?」

白幡「昨日、私たちは浦和に0-4という大敗を喫しました。開幕してから、ひと月も経っているというのに未だ勝ちはなく、周りからは「ことしの降格は徳島と仙台は確実だから、残り1枠がどのチームになるかだな・・・」とまで言われる始末。我々には時間が無いのです」

久保「しかし、VEGA-STAP細胞の万能化の立証と検証はこれからなんです。それなのに、いきなりメッシの万能得点力細胞をベガルタの選手に移植させろだなんて・・・このことを、ベガ研の倫理委員会に諮れば間違いなく研究は中止されられますよ。」

白幡「問題は、倫理委員とユニットのグループディレクターの酒井英樹さんですね?」

ベガ研のグループディレクター酒井英樹は、英科学誌『ネイチャー』に、マウスのES細胞から網膜全体を作ることに成功したことを発表した人物である。ES細胞から網膜を立体的に作ったのは世界初の試みであり、本研究は緑内障の患者に希望と朗報を与えているのは事実だ。また「脳は極めて複雑な組織であるが、その発生は外胚葉という単純な細胞の固まりが分化することから始まる」という事を発表するのだが、このことは、後に久保が研究するVEGA-STAP細胞にも決定的な意味合いを持つ。

久保「いや、そういう事じゃなく、検証が無いままでは倫理規定に違反すると言う事なんです」
白幡「ここだけの話ですが、今のアーノルド監督は近々解任します」
久保「えっ、まだ開幕一カ月しか経ってないのに・・ですか?」
白幡「えぇ、そして私も今月一杯で退任します」
久保「そんな大切な事を部外者の私に話しても良いのですか?」
白幡「しかし、ただ単に退任するのではありません。成績下落の責任を取って悪魔と取引する為に、私は辞めるのです」
久保「・・・・」
白幡「悪魔と取引する以上、良心の呵責などありません。あるのはただ、ベガルタを強くしたいと言う、正義感などとは無縁の信念だけです」
久保「その悪魔との取引が・・・」
白幡「そうです、VEGA-STAP細胞なのです」

白幡が悪魔に良心を売り、ベガ研の久保を訪ねる事を決意した時、ベガルタのチーム状況は最悪だった。リーグ戦・カップ戦含めて3分5敗で勝ち星はなく、その試合内容もボロボロ。得失点差は-15で、徳島が居なければダントツで最下位になっていてもおかしくはない数字だ。0-4で敗れた浦和戦でウイルソンは「冷静に次のことを考えましょう。今の状況を変えるということを冷静に考えないといけない」というコメントをし危機感を募らせ、リーダーの角田に至っては「どうしていいか分からない・・・」とコメントしていた事を付け加えておこう。

また、アーノルド監督は会見で・・・
「4点目を取られた後にベンチにもたれかかるようなかたちで何かを考えるようなかたちにしばらく見えたのですが、どういうことを思いになって試合をご覧になっていたのでしょうか?」と問われた時、力無く・・・「がっかりした気持ち、それだけです。」と答え、その後は無言になってしまった。とにかく、この頃のチームは、監督と選手たちの間には信頼関係が崩壊しかかっており、小学校で言うところの「学級崩壊」の一歩手前状態となっていた。毎試合のように複数失点をし、得点は中々出来ない・・・。こんな悪循環に陥れば、次第に監督と選手たちとの間に不協和音が出るのはしょうがない。

白幡「何度も言わせないでください。もう時間が無いのです。お願いです、今すぐにでも、メッシの万能得点力細胞をベガルタの選手たちへ移植して下さい」

久保「それは、だから・・・」

白幡「心無い輩は、貴方の研究には懐疑的で「VEGA-STAP細胞など本当は無いんじゃないか?」という研究者まで居ると聞いています。本当にあるのでしょうか?」

久保「VEGA-STAP細胞はあります!!」

とりあえず、まわりの評価が「もうチョット見てみよう・・」だったので第二話は書き込みました。これで評価が悪くなれば、第三話「白幡、悪魔との取引き」を書き込みますが、その前に・・・

今日はガンバ戦、ビートガンバ!!

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