2013年1月9日水曜日

補強を考える・・・の続きです

極論を言えば、ベガサポやチームにとって満足いく補強をするためには「その源泉であるチーム収入の規模を増やすしかない」という原理原則に背を向ける事は出来ません。しかし、どのチームも浦和のように比較的潤沢な資金を選手獲得に投入する事など不可能ですし、仙台もそうでしょう。その証拠としては、昨年末に社長がコメントした「現有戦力を残留こそ、最大限の補強です」というワードに集約されます。

昨年度までのチームは、結果的に4~5年かけて作り上げてきたチームです。予算が無かったとはいえ、同じ社長、同じ部長、同じ監督、そして中心メンバーであるコアな選手も同じでリーグ戦に挑み、そして結果を出してきました。ここ数年の結果によって、フロントが執ったチームの戦略の正しさ、そして監督を中心としたチーム戦術の正しさは証明されていますが、その正しさは「金が無かったので止むにやまれず・・・」であったと言う事は皮肉です。

ベガルタフロントの執った戦略が不変的に正しく、そして結果の出る確率が高いのであれば、お金に困っている他チームは必ず模倣し、結果も出しているはずです。しかし、人件費総額でほぼ同規模である神戸・セレッソ・新潟・千葉などのチームが、長いスパンでチーム編成を考え監督やスタッフなどを固定出来ていたかと言えば、その答えは「否」でしょう。さらに言えば、若い選手を積極的に起用し続けてチーム作りをし、チーム編成を固めようとしているセレッソや京都も決してサポーターが満足行く結果は得られませんでした。今年、快進撃した鳥栖の場合も、チームが執り得る唯一の戦略が「現有戦力の底上げ」しかなかったのであり、決してチームがケチだった訳ではないはずです。総人件費5億円ぐらいのチームで、浦和・名古屋・鹿島などの金持ちチームよりも順位を上回るんだから、気分爽快でしょうな。

そう言う意味で、セレッソは特異なチームです。次から次へと日本を代表する若手の選手が現れ、そして多くの選手は現実的に代表や年度別の代表で活躍し、結果として海外のクラブへ移籍し、活躍の場を世界へと移していきました。中々、日本を代表する若手が登場しない仙台サポからすれば、本当に羨ましいことです。しかし、そんなチームでもリーグ戦の成績は決して良いとは言えず、今年の成績と言えば、ギリギリでの残留でした。次から次へ出てくる若手の逸材、そしてリーグ戦での苦しい結果。この状況は、仙台と比べれば「ある意味真逆」でしょう。

仙台のスタメンで最も若い選手と言えば富田ですが、彼が「若手」というワードでくくれない選手である事ぐらいは本人も自覚しているはずです。確か富田も26才ぐらいでしたかな・・・十二分に中堅です。関口や富田や広大が成長したように、越後や藤村が成長してくれればいいのですが、その保証が無い以上、仙台補強のワンベクトルが「若手」へ向けられることは極めて自然でしょう。成績はアップしているものの若手が登場しない仙台と、次から次へと日本を代表する若手が登場するもののチームの成績が不本意なセレッソ。ベガサポとセレッソサポ、どちらが幸せなのでしょうか?それとも、どちらも幸せなのでしょうか?

だからと言って、仙台はマリノスのような極端までにベテラン偏重のチームじゃないんだけど、今の主力が「揃って4~5年後も主力」である可能性は低く、そう遠くない将来にチームが「痛みを伴う成長への脱皮」をしなければならない状況に追い込まれるはずです。もちろん、若手の成長や有望な選手を獲得し、急激な変化ではなく「徐々に選手を取り変え、穏やかな変化」でチームを変革するという手法もあるし、ある意味そっちの方がサポ的には安心出来るんだけど、その安心感とチーム成績がリンク出来るかどうかの方が大切なのであり、穏やかで、ゆっくりとした変革で結果を出さなかった時のリスクは尋常じゃないはずです。

1年でやれるところを2~3年かけてやる・・・それで継続的に結果が出ればいいんだけど、結果が出なかった場合は「他のチームよりも変革が2年遅れる」という状況になってしまいます。そのリスクが如何に尋常じゃないかを知っているからこそ、多くのチームが変革に着手する場合、短期的でドラスティックになるのでしょう。あってはならないことですが、3~4年後、菅井が、リャンが、富田などがチームを去るかもしれません。そんなことなどは考えられませんが、チームにとってドラスティックな変革が必要となった時、真っ先にチームが行う戦略は「ベテラン選手から若手選手へのチェンジ」です。そうなった時、柳沢や平瀬が鹿島を去って行ったような状況が仙台にも出来るのでしょうな。

昨年は、そのチームのコアへ新たに大海とウイルソンが加入し厚みが生まれました。ホント、これらの加入は大成功でした。しかしながら、サッコーニのように、失敗例も当然ながらあります。選手はチームにとって大切な資産ですが、怪我などによる長期の離脱や、選手自身のスキルが劣悪だった場合は、その資産が不良在庫の負債となる事があります。次回は、チームのバランスシートを考慮しながら、仙台にとっての補強を論じます。

2 件のコメント:

  1. セレッソは2010年に3位になっていて、2011年にはACLベスト8となっているので、あながち成績が悪いとは言えないのでは? 2012年に限れば、書かれている通りだと思いますが・・・

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    1. 匿名殿へ  

      お初ですかな
      確かに、3位⇒ACLベスト8の結果を悪く思う人はいません
      しかしながら、3位⇒12位、そしてギリ残留の14位と下降状態がハッキリした場合
      「まっ、3位にもなったし、ACLベスト8にもなったから、今年は残留してくれるだけでいいわ・・・」と
      思うのでしょうか?

      これは、その当事者にならないと分からない感情なんでしょうが
      仙台も4位⇒2位と来て、今年残留争いに巻き込まれてしまった時
      私は、この感情の答えを知ることになります
      まっ、知りたくはないけどね

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